森村桂、一人目の夫との苦労話~電撃婚ののちに

森村桂、一人目の夫との苦労話~電撃婚ののちに

森村桂さんの作品で『天国にいちばん近い島』についで有名な作品といえば『ふたりは二人』が良くあげられます。

森村さんの結婚が決まり、結婚式の準備から新婚生活を描いた作品です。

夫の名前は作品の中では山下ジロウさんとしていました。(多分偽名ですね)

その後、離婚されるので元夫ですが、その人との人生は読むほうとしてはかなり興味深く
物語性にあふれているので本にするには最適なお相手だったのでしょう。

何せ、最初の出会いからして森村桂さんの『天国にいちばん近い島』を読んで感動した山下さんは、
桂さんを訪ねてきて意気投合し、3回目会った日に山下さんは結婚を申し込むという電撃婚でした。

そしてとんとん拍子に話が進んで行き、お互いのことをほとんど何も知らないままに結婚してしまう…
まさに作ったお話のような結婚物語です。

しかし、話が進むにつれて、夫の人となりがわかってきます。

森村桂さんは本来ロマンチックな夢見る人でありました。

それなのに、婚約指輪は駄菓子やで当てたルビーの指輪にしようとするし、桂さんの誕生石のトルコ石に治まったものの、
売り手が友達だから支払いをつけにしようとする。

新婚旅行に行くかどうか聞いてきて、当然行くものと信じてた桂さんは「行きたい」といって
何とか2泊3日の軽井沢行きが決まったものの、結婚式が終わった次の日めんどくさいから辞めよう、といわれます。

その後も執筆の仕事が忙しい桂さんの状態を知りながらも、毎晩友人を連れてきてはマージャンして騒ぎ、
桂さんは複数の男性のお世話でへとへと状態。

山男で友人が多く、男気を出したがる癖があり、すぐに友人におごりたがる、
そんな山下さんですからいつもお給料がそこをつく生活でした。

それなのに、今度はお金のかかるスポーツのゴルフに懲りだし、生命保険を解約してゴルフの会員にまでなります。

そんな山下さんの世話だけでも大変なのに、それに加えて桂さんのお母さんもがややこしい人でした。

桂さんのお母さんという人は当時の母親像とは大きくかけ離れた人で、女性であっても勉学を学んで自由に生きるべきだ、
との思想を持つ人でした。

その信念が強すぎて娘である桂さんを犠牲にする人でもあり、話の中でも桂さんが体調が思わしくなく、
結核かもしれないと思い、お母さんを頼ったのですがヨーロッパ旅行を計画中だったお母さんは、
娘が結核の疑いがあっても自分の元気なうちに絶対いく、といって聞かない人でした。

それどころか、桂さんが栄養失調だと知り、食べればいいのよ、とだけ言ってヨーロッパ旅行の支度にかまけて、
家事は桂さんにお任せな母親だったのです。

手のかかる二人に囲まれた生活を桂さんはいかにも楽しそうに描いていました。

最後には一周年を三人で向かえて大団円のように締めくくって、
いろいろありましたが私たちはそれなりに幸せにやっていますのような雰囲気で終わらせていました。

でも、この作品は桂さんはあまりに悲惨な新婚生活だったから自分は夢を書いた、
と後の作品で明かしました。

森村桂さんの当時の夫・山下さんは徹底した亭主関白でした。

どんなに桂さんが間違っていないと信じた言葉でも山下さんと意見が食い違うと、
ひどく叱り飛ばされる、そんな生活でした。

私自身はこの作品を読んだときは、私にはこんな男性とは到底やっていけない、としか思えませんでした。

けれど、作品としてはそのほうが面白く読めてしまうとは…。
しかも人気が高い作品とは、皮肉な結果です。

一人目の夫との苦労話