アパート経営は楽じゃない!~森村桂さんとお母さんの苦悩

アパート経営は楽じゃない!~森村桂さんとお母さんの苦悩

森村桂さんの作品の中でなかなか興味深い作品があります。

タイトルは「お隣さんお静かに」。

アパート経営は楽じゃない

お話の中身は、森村さんのお父さんが亡くなり、作家であった父親の印税が入ってきた。

金額は80万円。

当時のお金ですから、現在の値打ちとしては10倍くらいでしょうか?

このお金をどう使うか森村桂さんとお母さんは悩みます。

桂さんはこれからどんどんお金が必要になっていく、だからこれからの生活のために80万を使おうと考えます。

森村さんの父親は家族の生活のためにアパートの家賃で食べていけるようにアパートを建てておいてくれました。

そのおかげで、父親が亡くなった後でも森村さん母娘は食べていけたのですが。

しかし、アパートが次々建っていく時代、古くなった我が家を改めて建て替えして
流行の二部屋ある部屋を建ててこれから苦しい時代に備えようと考えます。

ここで驚きなのは当時の日本の暮らしぶりです。

4畳半や6畳一間が当たり前な時代という今では考えられないほど狭い部屋に夫婦二人、
もしくは家族3人か4人が暮らしているのです。

そんな中で二部屋あるアパートは贅沢なほうだったのです。

4畳半のお値段が8000円から9000円ほどで、礼金3万円敷金2万円と住まいの値段よりも
礼金敷金のほうが俄然高い金額なのが印象的でした。

このお話のメインは部屋を借りた住人達です。

アパートの大家さんである森村さんですが、家賃収入で暮らすのも大変だな、と思える出来事が山ほど出てきます。

一人暮らしの女医さん、30歳くらいで独身、職業が医師ならば、生活に困ってはいないはずなのに、家賃の支払いが悪い。

払ってくれるよう催促しても自分がいる時間に取りに来ないと支払ってくれない、
納得がいかないと踏み倒すなどやりたい放題なのです。

次に入ってきたのが会社経営しているという中年男性、けれどこの男も口では絶対支払う、
といいながらアパートの家賃4か月分を全部踏み倒して去っていきます。

しかし、そんな住人ばかりではなく、ホステスをしている女性は意外ときっちりしていて言わなくとも家賃を先に支払ってくれる、
おまけにおすそ分けもしてくれる、と好感の持てる住人なのです。

けれど次の人生を考えていてさっさと森村さんのつつじ荘を出て行きます。

ホステスさんに良い印象をもった森村さん母娘は、次の住人にまたホステスさんを入れます。

そこからが最大に森村さん母娘の困難が始まるのですが…。

一般の人には知られていないアパート経営の悩み。
家賃収入は一般の人にはうらやましく苦労が無い世界に思えますが、内情は大変なんだな、と考えてしまう作品でした。

そして当時の建物のいい加減な作りや、いい加減な考え方、そして何処か当時の人情も感じられる作品だったのです。